研究概要 |
本研究で提案した複合3リンク機構を用いた超冗長マニピュレータはアクチュエータで駆動される1つの能動回転関節,受動回転関節およびスダイダで構成される,閉3リンク機構のユニットが連接された構造をもつ。この機構の特徴は以下のとおりである. (1)閉リンク構造を有するので,高い機械剛性を持つことが期待される. (2)関節の動きはそれよりも末端に位置する全ての受動関節の動きに影響を与える干渉駆動となり,結果としてエンドポイントの動きはベースに近い関節の動きに大きく支配される. 平成13年度においては提案した機構の運動学・逆運動学解析ならびに,動力学解析をおこない,動作範囲および必要トルク等の計算した.これらを踏まえ,3つの閉3リンク機構を有するモデルを設計し製作した.さらに,モータードライバ回路および制御ソフトウェア作成し,駆動実験をおこない,PID制御により所与の動作が可能であることを確認した.しかしながら,歯車およびタイミングベルトによる駆動伝達部分の取付方法の不具合や部品同士の接触問題が判明した. 平成14年度においては,13年度で判明した機構上の問題点をなくし,さらに必要トルクの軽減を図るべく,ばねを用いたバイアストルクの負荷ができる構造に変更するため,一部部品の再設計をおこなった.その結果,稼動範囲が広がり,かつ必要トルクを軽減させることに成功した.以上の作業と平行してより多くの自由度を有するモデルの製作をめざしたシミュレーション解析をおこない,8自由度のモデルであれば,広範囲な平面空間においてエンドポイントの位置制御が可能であることを確認し,動力学解析をおこない,8自由度を有する2号機モデルの各アクチュエータの必要トルク等の計算をおこなった.平成15年度以降はこれらの成果を踏まえ,2号機モデルの設計・製作に取り掛かる予定である.
|