研究概要 |
近年,携帯電話や無線LANの普及が爆発的に進む一方,身の回りの電子機器も高速化が進み,既にパーソナルコンピュータの動作速度はGHz帯に達している.このような電子機器から放射される電磁雑音の無線通信への影響が懸念されており,国際無線障害特別委員会(IEC/CISPR)では,電子機器からの1GHz以上の妨害波について許容値を検討している.このため高周波帯の妨害波低減が急がれるが,その手法は確立されておらず,特に実装状態におけるEMC対策部品の高周波特性に関する計測・設計方法が明らかになっていない.本研究ではEMC対策部品の実装状態における高周波特性の解明,およびその計測法に関して下記2項について検討した. 1.広帯域電磁妨害波の測定法に関する研究 EMC対策部品の高周波化に伴い,その効果を評価する測定系にも広帯域特性が求められる.本研究では電磁妨害波測定において重要な誤差要因であるアンテナ特性について検討を行い,広帯域アンテナ使用時の誤差要因や誤差量を示した.また,広帯域アンテナの自由空間感度を高精度に得る新たな方法として,アンテナの高さを走査した際のアンテナ感度特性から推定する方法,アンテナインピーダンス変化を用いる方法などを新たに提案し,その有効性を示した. 2.電子機器用フェライトコアの高周波特性に関する研究 現在市販されている電子機器の電源線には雑音電流を阻止するため,小型のフェライトコアが装着されている.しかしこのフェライトコアの材質,配置法や,その効果は十分には解明されていない.本研究では,フェライトコアが装荷された伝送線路の高周波減衰特性の測定方法と、最適なコア配置方法を検討した.その結果,フェライトコアによる減衰特性を簡便かつ精度良く評価できる測定法を開発すると共に,フェライトコアによる減衰の材料定数依存性,コアの最適配置法などを明らかにした.
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