研究概要 |
本研究は,鉄道や搬送装置に応用するために,高速領域で弱め界磁運転が可能で自励式のリニア同期モータ(LSM>の実現を目的としている。提案する新型LSMは、固定子電機子巻線に推力電流成分に励磁電流成分を重畳した脈動電流を加えることによって,バイアス周波数で脈動しながら移動子d軸に同期して進行する交番起磁力を作り,この起磁力によって移動子界磁巻線に誘導される起電力を界磁巻線に組み込んだダイオードで半波整流することにより励磁を得るものである。今研究期間の研究をまとめると,以下の通りである。 1.「自励・可変界磁形LSM」を設計し,試作した。 電機子側を地上に敷き詰め,界磁側を車上に配置する地上一次方式で,定格は50N,50cm/sとした。一次側は,普通のLSMと同じ構造で12極,長さ2mとし,移動子(界磁)側は成層鉄心磁極に,ダイオードで短絡した界磁巻線を4極施した構造である。支持案内は,懸垂形で車輪とレールで行っている。 2.駆動用インバータを設計し,試作した 新形LSM駆動用に,界磁鉄心の位置に応じて,トルク電流成分に励磁電流成分を重畳した脈動電流を発生するIGBTインバータを設計・試作し,さらに制御プログラムを作成した。 3.実験により基本特性を測定した 実験により,試作機が理論通り往復運動動作することを確認し,さらにインダクタンス分布,電圧,電流波形,静推力等の基礎特性を計測し,モータの性能評価を行なった。 4.有限要素法を用いた最適可動子形状の検討を行った 有限要素法を用いて,推力脈動や垂直力の抑制を目的として,最適な可動子形状の検討を行なった。その結果,非対称形状,2段スライド形状などを採用することで,脈動や垂直力を抑える形状を提案した。さらに,垂直力軽減に関する検討を行った。 今後、推力の増加,推力脈動の低減,垂直力の低減を目指した最適設計と実験による検証,動特性の計測,往復運転制御精度の向上等に関する研究を進めて行く予定である。
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