研究概要 |
Siナノ結晶(nc-Si)分散薄膜において膜厚方向に結晶サイズ分布の周期的な変調を与え,このDBR構造を利用したFabry-Perot共振器を構成することによってスペクトル幅を20meV程度まで狭くできる。本研究では,さらに光波長オーダの2次元周期構造,いわゆるフォトニック結晶を構成することによる3次元的な光閉じ込めを実現し,より高レベルの放出光モード制御を実現することを目的としている。平成14年度は,前年度の結果と新たに生じた課題を踏まえ,主に次の3課題について研究を行った。 1)フォトニツク結晶形成時のエッチング条件の最適化, 2)DBR構造をもつnc-Si分散薄膜に2次元三角格子フォトニック結晶構造を付加. 3)DBR/フォトニック結晶複合構造の発光特性測定. nc-Si分散薄膜のベースとなるa-SiOx薄膜は,プラズマCVD装置を用い堆積した.成膜後1100℃で1時間の熱処理を行い,膜中にnc-Siを分散生成させた.フォトニック結晶形成時のエッチングプロセスにおいては,エッチングの異方性並びに電子線用レジストとSiナノ結晶分散薄膜の選択比の調整が重要であった。今年度,エッチングガスをCF_4+H_2とし条件を最適化することにより,良好なエッチング特性を得られることが明らかになった。ただしこの場合,エッチレートが約1/5に減少してしまい,その回復が今後の課題である。また,DBR/フォトニック結晶複合構造の発光特性に関しては,膜面内への放出光の伝搬が抑制されることが確認された。共振器からの放出光強度の増加に関しては定量的な結論を得るに至っていない。トップリフレクタに金属薄膜を使用していることが損失につながっている可能性がある。
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