研究概要 |
本研究はウィスパリングギャラリモードで動作する誘電体円板共振器を間隔dを持って積層化し,その透過電力特性をミリ波帯での帯域通過フィルターに応用しようとするものである. 平成13年度の研究では,上記構造により帯域通過フィルターを実現することが可能である事をマイクロ波帯での実験で明らかにした.平成14年度はこの研究をさらに推進した.すなわち,理論的にはまず2枚の円板間の結合係数や励振用及び検出用外部回路と円板間の外部Q値をフィルター設計理論から算出した.その結果,フィルターの中心周波数及び帯域幅を与える事により,所望のフィルターを実現することが可能となった.また2枚の円板間の結合係数を電磁界的に求めるために本研究代表者が考案した近似変数分離法を用いた.これらのことより,円板間距離d及び励振用及び検出用外部回路と円板間の距離sを決定する事ができた.実験的には本科学研究補助金で購入したミリ波ソースモジュール等を用いてミリ波帯での実験を行い,帯域通過フィルターの実現性を明らかにするとともに理論解析結果の妥当性を確認した. ウィスパリングギャラリモードはその性質から数多くの周波数で共振するため,これまで扱った対称5層構造では所望する通過帯域の近傍にスプリアスな通過帯域が存在する.そこで,この不要な通過帯域を消去するために2枚の円板間に異なる比誘電率を持つ誘電体円板を挿入し実験を行い,不要帯域の消去に一部成功した.(次ページの最初の発表論文参照)
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