研究概要 |
1.印刷画像への画像生成関数を利用した電子透かし埋め込み技術の研究 ディジタル濃淡画像は印刷されるときには2値ディジタルハーフトーン化される.印刷物から元のディジタルハーフトーン画像を正確に復元することは困難であるため,ハーフトーン画像に電子透かしをディジタル的に埋め込んでも,印刷物からその透かしを復元することができない.これに対して,印刷物のままで透かし図形を再現する光学的透かし技術が知られている.その一つのハーフトーン化に濃度パターン法を用いる方式では,電子透かしを埋め込むときにハーフトーン画像を生成するためのパターンセルをランダムに選ぶため,その結果としてハーフトーン画像はノイジーな画質になる.そこで,その画質劣化を抑えるために,各輝度レベルに対して用いるパターンセルを2つだけに限定する方式を提案した.更に,その各2つのパターンセルとして,視覚的に良好なハーフトーンが得られるものを選び出した. 2.情報分散に反復関数系を利用するための基礎検討 局所反復関数系フラクタル変換を用いて画像を生成するときに,情報が画像上に伝搬していく場所と量の変化を理論的に解析した.更に,シミュレーションを行って理論特性の妥当性を確認した. 3.局所反復関数系フラクタル変換のための高速画像ブロックマッチング法の研究 画像ブロックマッチングの評価関数としてブロック間の2乗誤差総和を用いる方法について,その最小値探索を高速化することを目的とした間接判定法を提案している.本研究では,従来から比較的高速なブロックマッチング方式として知られている残差逐次検定法を2乗誤差の場合に拡張した方式にこの提案方式を適用した.そのシミュレーションを行って高速化効果の特性を細かく分析し,高速化が実現される根拠とその条件とを明らかにした.更に,間接判定法に必要な前処理の演算量についても理論的な検討を行った.
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