研究概要 |
テンプレートマッチングは,パタン認識や画像解析などの分野で広く用いられている重要な画像処理技術の一つである.本研究代表者らは,二つのディジタル画像の間の微少な移動量を高精度で検出可能な連続的テンプレートマッチング手法(以下では従来手法という)をすでに提案している.同手法においては,帯域制限補間された連続関数のピーク位置を検出するために最急降下法に準じた逐次近似計算法を用いている.このため,演算量が比較的多いこと,処理時間が一定量とならないことなどの問題がある.そこで本研究では,フィードフォワード型ニューラルネットワークを用いた新たなテンプレートマッチング手法を提案した.また,シミュレーション実験により,提案手法による移動量の検出精度および演算量を評価し,従来手法と比較検討した.入力画像に対する雑音モデルとしては,第一次近似的な意味で,相加的な白色ガウス雑音を仮定し,シミュレーション実験により検出精度の評価を行った.検出精度は水平および垂直方向の各移動量についての検出誤差のRMS値によって評価した.なお,提案手法においては,偏導関数を用いないこと,最急降下法のような逐次近似計算を行わないことなどから,演算量の削減(高速化)も期待できる.以上の検討の結果,提案手法を用いることにより,逐次近似手法に基づく従来の連続的テンプレートマッチング手法と同等の高精度な移動量検出が実現できること,およびピーク位置検出の演算量を約1/13に削減できることを明らかにした.
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