研究概要 |
電車内における電磁波の人体や医用電気機器に悪影響を及ぼす可能性のない光を適用した新しい通信方式と巡回発光型セルを用いた光移動体通信方式を提案しその評価を行った,主な成果を以下に列挙する。 (1)電磁波の人体や医用電気機器に対する弊害を示し,列車内における人にやさしい光無線通信の必要性について論じた.列車内光無線通信想定モデルの内容について明記し,システム的な観点から想定しているアクセス方式を提案した. (2)デバイスの選定や高周波回路技術の適用など,ハードウェアの要素技術の確立を含めた広帯域光送信器,受信器の設計,開発,評価を行った,遅延プロファイル計測システムを構築し,計測システムが有効であることを示した. (3)ガラス面及びステンレス面における光の入射角度別反射パターンの測定実験を行い,反射素材ごとの入射角度別の反射強度を明らかにした.実験結果から,光の入射角度が小さいときと比較し,入射角度が大きくなるにつれて反射強度も大きくなることを示した. (4)実際の列車車両内において光の伝搬特性を把握するための実験を実施し,伝搬特性を窓ガラス,ステンレス壁および人体を考慮した光送信器角度別遅延プロファイルとして明らかにした.座席部付近における光送信器の使用を想定した実験では,直接変調光に対して反射変調光は約1.5nsの遅延光となり,壁がステンレスの場合の反射変調光は直接変調光の約20%,窓ガラスの場合約7.3%という結果を得た.また,人体の反射を考慮した混雑時の車両内中央部における実験より.衣類からの反射変調光が認められ,その光電力は直接変調光の約6.2%という結果を得た. (5)光無線通信におけるガラス面,ステンレス面の反射光を考慮したディジタル変復調方式の空間光伝送実験を実施し,通信品質の特性を取得した. (6)巡回発光型セル方式(DTCE方式)を移動体受信に適用した具体的モデルについて検討し、各種モデルの伝送特性について検討した。また、移動体無線通信にDTCE方式を適用したモデルとサイトダイバーシチ方式を適用したモデルとを比較検討し、移動体無線通信で各送信器間の同期ずれの問題を考慮した場合には、DTCE方式では同期ずれの影響を受けにくく、より簡易なシステム構成が可能であることを示した
|