研究概要 |
本研究では,高度で,柔軟な移動体通信ができる携帯電話などの超高速移動体通信や,無線インターネット,アドホック無線LANを中心とする無線自律分散情報通信ネットワークを対象にして,これまで解決されていなかった次の研究課題について今後の研究を進め,高度に融合される高度な広帯域マルチメディア移動体通信の実現への寄与を目指している. 本研究の主な研究成果は次のように挙げられる. (1)分散型高速無線通信システムにおいて多元トラヒックを効率よく処理するパケット型ランダムアクセスプロトコルCSMA/CA方式を考え,これまでに行われなかったパケット出力時間間隔に関する確率母関数を厳密解析により,多元トラヒックの出力時間間隔の変動係数等を数値的に分析する方法を確立した. (2)インターネット上のトラヒックを統計及び分析し,無線LANを含むマルチメディア分散教育環境における負荷を統計及び解析可能とする一般的な方法を確立し,数値結果により,提案する手法の適用性及び有効性を明らかにした. (3)移動通信ネットワークにおける固定チャネル割当ての組み合わせの最適化問題に対して,再帰探索アルゴリズムによる高速なチャネル割当法を提案してその有効性を示し,サービスエリア全体の干渉が最小となるような使用チャネルの配置換え方法を提案した.さらにマルチホップ型自律分散制御ネットワークに適用できることを示唆し,多段接続による通信が行われるときのチャネル割当法の開発の方向性も示した. (4)本研究では,様々な条件下で実験実証やシミュレーションを行い,Bluetoothのシステム性能に関する通信特性,無線LAN通信環境下で,BluetoothとWaveLANとの共存時における通信性能を数値的に評価し,システムの動的な変化と影響しあう要因を解明した. (5)システムにおける端末の移動特性を解明し,異種メディアを容易に統合できるランダム多元パケット型アクセス方式を用いるシステムへ周波数利用効率を高める自律分散ダイナミックチャネル制御方式を提案し,システムの確率的振舞いを解析するとともに,数値結果に基づきシステム性能評価を行い,本手法の有効性を確認した. (6)限られた資源を効率的に利用できる効率的な通信を目指して,ネットワークのデータのトラヒックの負荷を分散する動的負荷分散制御方式を提案し,負荷を分散させる管理制御アルゴリズムの設計と実装を行った. (7)離散時間型マルコフ決定プロセスにおける最適性方程式と最適政策の特性を解析により明らかにし,現在,最も重要な研究分野のインターネットや情報通信ネットワークなどのフロー制御,システム保全への応用が期待される.
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