研究概要 |
システム同定と制御において,ノイズの問題は不可避であり,ネットワーク手法で同定と制御を行うときに,ノイズの特徴を把握し,ノイズを含む信号がネットワークをどのように伝達して行くのかを調べる必要がある.また,色々な非線形変換関数を持つノードや色々な形態を持つネットワークがある中で,同定と制御の仕様にマッチするネットワークを構成するには,人間の知識や経験を生かした学習プロセスをコントロールできるネットワークの構成法が必要である. 本研究では,学習ネットワークを用いたシステム同定と制御に向けて,次の各項について研究を行った: 1)RBPネットワークとその構成法の開発 RBFネットワークとパーセプトロンネットワークを結合して,二つの異なる種の隠れ層を持つネットワーク,RBP(Radial Basis Function-Perceptron)ネットワークとその構成法を提案した.RBPネットワークはパーセプトロンとRBFネットワークの両方の長所を兼ね備えており,学習速度が速く,汎化能力も良い. 2)確率信号のネットワーク伝播特性の解析 ネットワーク上のノイズを含む各信号の確率特性をその各次モーメントで表現し、各信号がネットワークを通過したとき、それらのモーメントのネットワーク伝播特性を調べ、各ノードにおける信号の各次モーメントの計算法を開発し、数値シミュレーションの検証を行った. 3)雑音分散の推定法の発展 ノイズに励起される自己回帰モデルを例題として,ノイズを量的に特徴付ける最も重要な指標として,ノイズの分散を推定することについて考え,ForwardとBackwardの補助統計量を導入することにより,数値的不安定性の問題を解決した.
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