研究概要 |
本研究計画は,周期係数離散時間線形システムに対して,以下の5つに大別されていた. (1)外乱除去可能ならしめる動的補償器の次元について考察する.従来研究では,実現する動的補償器の次元は,与えられたシステムSの次元と同じであるので,それより低い次元あるいは,最小次元で実現可能かどうか調べる. (2)システムSの各システム行列が,それぞれノミナルな行列と不確かな行列の和として与えられているとき,システムの状態空間における幾何学的構造を解析するために必要な概念として(申請者が提案する)上記システムに対する一般化された不変部分空間を定義し、その性質について詳しく調べる. (3)上記のシステムSにおいて,状態フィードバック及び静的出力フィードバックを用いた外乱除去問題を定式化し,これらの問題が解けるための可解条件について調べる. (4)上記のシステムSの状態空間における幾何学的構造を解析するために必要な概念として(申講者が提案する)一般化された(C(k),A(k),B(k))-Pairsの概念を定義し,その性質について詳しく調べる. (5)上記のシステムSにおいて,動的補償器を用いた外乱除去問題を定式化し,これらの問題が解けるための可解条件について調べその解のクラスについて詳細に調べる.さらに,(1)において考察した動的補償器の次元についてもその関連性について調べる. その結果,不確かな周期係数離散時間線形システムに対して,不変部分空間の概念が調べられた.また,様々なフィードバック形態による外乱除去問題が定式化さえ,それぞれ可解条件が与えられた.さらに,動的補償器による問題については,その次元についても調べられた.得られた結果は,学術雑誌および国際会議等で発表された.
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