研究概要 |
独立成分分析とは,統計的に独立な信号が混合した観測信号から,元の独立な信号を推定しようとするものである.最近ニューラルネットワークの分野で,この独立成分分析に関する学習アルゴリズムがいくつか提案されている.また,その応用分野として,音声・画像や生体信号処理などのブラインド信号分離でその有効性が示されている. しかし,このような独立成分分析をパターン認識の特徴抽出に適用する場合,どのような特徴が抽出されているのかについては明確でない.そこで,文字画像や音響信号などに独立成分分析を適用することによって,下記の2点について検討する. 1.どのような基底関数が形成されるのか 2.元の信号のどのような特徴が抽出されているのか さらに,文字認識や音声認識などのパターン認識を対象として,主成分分析などを用いた場合と認識率で比較して,独立成分によって抽出された特徴の有効性について定量的に評価する. 上記の研究内容によって,独立成分分析のパターン認識への適用可能性を検討し,その特質を定量的に評価することが本研究の目的である. そこで,本研究では一般的な手書き数字パターンと,設備機器の音響診断データを対象として独立成分分析法を適用し,パターンの認識率を尺度にして,定量的に独立成分分析法の有効性を検討した.さらに,教師付き独立成分を用いた認識方法を提案し,その有効性を評価した. また,独立成分分析を用いた生体信号処理として筋電図のブラインド・デコンボリュージョンに適用し,運動単位の推定の可能性を検討した.
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