研究概要 |
本研究では,人間の筋運動系のインピーダンス特性を実験的に解析しそのモデル化を行うとともに,筋インピーダンス特性を考慮した新しい運動リハビリテーション支援システムを開発した.主要な研究結果は以下のとおりである. 1.2自由度リニアモータと可変インピーダンス制御に基づくインピーダンス・トレーニングシステムを新たに開発した.そして,健常者であればかなり高い精度で自らのインピーダンスを随意的に調節できることを実験的に明らかにした. 2.このシステムを用いてトレーニング中の健常者の筋インピーダンス特性を明らかにした.特に作業対象物のダイナミクスが筋インピーダンスや脊髄反射系の感度にどのような影響を与えるかに注目して解析を行った 3.人工現実感技術を利用したバーチャルスポーツシステムを新たに開発した.対象とした運動はテニスとエアーホッケーである.そして,運動中の健常者の手先インピーダンス特性を計測し,被験者が作業環境に応じて手先インピーダンス変化させていることを明らかにした. 4.開発したトレーニングシステムを用いて小脳疾患患者によるインピーダンス知覚トレーニングを試みた.その結果,被験者が対象物インピーダンスや作業の目的に応じて手先の運動を変化させていることが明らかになり,インピーダンス知覚と運動の関連性が強く示唆された.
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