研究概要 |
マルチレートシステムは,センサとアクチュエータの動作周期が異なる場合や多種あるセンサの間で動作周期が異なる場合に現れ,化学プロセスを中心に多様な制御応用場面で遭遇するシステムである.本研究では,このようなマルチレートシステムに関する同定,モデル追従制御,および適応制御に関する理論的及び実際的な課題を解明し,これまで制御が困難であったマルチレートシステムに対する有用な制御手法の確立を目指すことを目的に研究を行った. 上述の研究目的を達成するため,本研究では,マルチレートシステムに対する制御手法として,(1)マルチレートシステムに対する適応制御系,(2)マルチレートシステムに対するモデル出力追従制御系,の設計法に関し理論的な検討を行った.適応制御系の理論的検討では,これまで問題とされていた,サンプリング間でのRipple現象に対し,Ripple Freeな制御手法の検討およびマルチレートシステムの性質を積極的に利用した新しい制御手法に関する予備検討も行った.さらに,開発した適応制御手法の有用性をサーボ系の実験を通して検証した.モデル出力追従制御系の理論的検討では,CGT理論を用いた新しいモデル出力追従制御系について,多変数系への拡張も視野に入れ検討した.また,海外共同研究者とマルチレートシステムの同定および開発した制御手法のプロセス系への応用可能性について検討し,非線形性の強いCSTRプロセス系などへの応用可能性についても検討を行った. なお,上記の成果の一部は国際会議および国内講演会で既に発表または発表予定である。また,2002年6月に熊本で開催された国際会議において,適応制御およびマルチレート制御に関連したWbrkshopを開催し,成果の一部を発表した.
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