研究概要 |
1.せん断力下の付着破壊性状と付着性能試験方法 コンクリートの打継ぎ部の表面処理程度がせん断付着性状に与える影響を評価するための試験方法について検討した.中央に打継ぎ部を有する角柱供試体に軸圧縮力を与えることにより,打継ぎ面に圧縮直応力とせん断応力とを作用させる一軸圧縮試験を行った.打継ぎ面の表面処理程度と傾斜角度(45〜60度)を変化させた. 表面処理程度がせん断付着性状に与える影響について評価するには,打継ぎ部の傾斜角度を60度とし,最大荷重,荷重変位曲線ならびに破壊に要したエネルギー(荷重変位曲線下の面積)を総合して用いる方法が有効であった. 2.コンクリート打継ぎ部の材齢及び打継ぎ方向の影響と水中付着破壊性状 静的および繰返し曲げ載荷試験における水の存在が打継ぎ部の付着性状に及ぼす影響について検討を行った.また,打継ぎ後の材齢および打継ぎ方向と付着性状との関係についても検討を行った. 鉛直供試体の場合は,下部に比べ上部は打継ぎ部の付着強度および新コンクリートの引張強度がともに小さくなり,その低下の程度は,新コンクリート部の引張強度に比べ打継ぎ部の付着強度の方が大きくなった. 3.プレキャストコンクリート型枠と合成したRCはりの曲げ破壊性状 プレキャストコンクリート型枠と合成RCはりの曲げ載荷試験を行い,型枠とコンクリートとの界面の付着性状が曲げ破壊性状に及ぼす影響について検討するとともに,Rigid-Body-Spring Networks (RBSN)により解析を行った. 解析の結果,界面に沿うひび割れの性状は界面部の引張強度と破壊エネルギーの両方に影響されるとともに,ひび割れ発生範囲の大きさはPCF版の剛性に影響されることを明らかにした.
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