研究概要 |
本研究の目的は,フレッシュコンクリートのポンプ圧送性のうち,圧力の時間的・位置的変動に耐える分離抵抗性に関して,加圧ブリーディング試験方法や変形性評価試験方法と同様に,圧送性の事前評価ができる試験方法を構築することである。平成13年度では,室内実験による変形性評価試験を行い,脈動に対する分離抵抗性が大きいフライアッシュIV種を細骨材容積の10〜20%置換した粘性が大きいコンクリートを対象とし,普通コンクリートの順調圧送に関する平均ポンプ油圧と変動係数の判定基準のフライアッシュIV種混入コンクリートヘの有効性について実験的検討を行った。平成14年度では,現場圧送実験による脈動流の定量化と,昨年に実施した室内実験で用いる小型ポンプ圧送試験装置に脈動発生装置を付加し,室内のコンクリートの管内流動実験において脈動状態を再現し,脈動に起因する材料分離や変形性低下を評価できる定量的指標の検討を行った。 平成13年度で得られた知見としては,(1)フライアッシュ混入コンクリートは普通コンクリートより,順調および不安定圧送領域が広く,高い変形抵抗性能を有する。(2)フライアッシュ混入コンクリートと普通コンクリートの順調圧送の判定基準は異なり,平均ポンプ油圧は大きくなりが,油圧の変動係数は小さくなる。また,平成14年度の現場圧送実験によって得られた知見としては,(1)スランプが12〜8cm程度のコンクリートでは,直管での脈動流と比較してベント管での脈動の乱れ(変動係数)は10倍以上大きい。(2)フライアッシュ混入コンクリートは,粘性が増大するために圧力損失が大きくなるが,脈動の乱れを抑制する効果があり,1m^3あたりFAを60kg混入した配合で,半減させることができる。(3)脈動の定量化には,谷部から谷部までの脈動1波形時間での圧力の変動係数を用いるのがよい。 以上の結果,変形性評価試験方法で得られる圧力の変動係数と現場での脈動の乱れには相関性があり,変形性試験の油圧ユニットに脈動発生装置を追加し,脈動を再現させることにより,ポンプ油圧の変動係数を用いて脈動の乱れを評価できる可能性が示された。
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