研究概要 |
本研究の目的は,表面波の伝播特性から舗装構造診断を行うことを目的としている.これは一種の非破壊試験であり,舗装に対する代表的な非破壊試験法としてFWD試験がある.FWD試験は測定した表面たわみから,舗装を構成する各層の厚さを既知としてその弾性係数を推定している.一方,表面波試験は表面を伝播する波の速度が周波数により異なる特性を利用して診断する試験法である.この試験では舗装を構成する各層の弾性係数だけでなく,その厚さを推定できるといわれている.推定法には簡易法と理論的なインバージョンがある.表面波試験は主に地盤に適用されており,舗装への適用性は必ずしも十分に検討されてはいない.本研究では過去の成果の適否を確認し,舗装に適する診断法を開発することを目的としている.過去の研究成果を適用する上で明らかになったことは次の通りである. 1.簡易法を用いて舗装を構成する層の厚さを推定することは出来ない. 2.インバージョンに必腰な理論的分散曲線を求めることは,舗装の場合困難を極める. 本研究で新たに明らかになったことは以下の通りである. 3.高周波数を発生できたとすると,表層のレイリー波速度を求めることが明らかになったそのためにはアスファルト層の厚さが10cmのとき約20kHZ,5cmのとき約50kHzの周波数が必要である. 4.アスファルト層の厚さは,波長伝播速度の関係を描くと,波長の比較的短いところで直線部分があり,その傾きと強い相関があることが明らかになった. 5.アスファルト層の厚さが等しく弾性係数が異なるとき,この直線部分の傾きは変らず平行移動がただ起こることが確認できた.
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