研究概要 |
地下鉄軌道の防振対策を目的として,以下の数値解析手法を構築し,解析例を通してその有効性を検証した. 1.平成13年度 三次元達成解析手法の構成 道床・トンネル・地盤を三次元場としてモデル化した.その際にトンネル奥行き方向に波動場をFourier変換し,問題を準二次元問題に帰着して解く方法を採った.また,PCクラスタを構築し,並列計算を実施した.解析と測定データおよび二次元モデルとの比較を通し,妥当性を検証した結果,三次元モデルを用いることで,地盤振動で重要となる100Hz以下の周波数域での振動特性が適切に再現し得ることがわかった. 2.平成14年度 軌道系未知物性値の同定手法の構築 軌道パッド・防振パッドの減衰係数およびバラスト道床のせん断弾性係数を未知物性値とし,測定された加速度スペクトルの再現性に基づいた同定手法を構成した.同定の過程では,多数の順解析が必要であり,多大な計算時間を要する.そこで,未知物性値を入力,まくらぎ/レール,待避所/レールのスペクトル比を出力としたニューラルネットワークを構築し,これを順解析の代用とした.同定手法には遺伝的アルゴリズム(GA)を用いた.数値モデル・実測データを対象に,本同定手法の有効性を検証し,その妥当性を確認した. 3.平成15年度 軌道構造の最適設計手法の構築 最適設計における目的関数として,防振効果,建設費用,レール寿命の3つを設定した.一方,設計変数には,これまでの研究で防振効果の認められた(1)トンネル覆工厚,(2)まくらぎ重量,(3)防振パッドのバネ定数の3つを選定した.なお,本問題は各目的関数間にトレードオフの関係が存在する,いわゆるパレート問題となる.パレート解の探索には多目的GAを用いた.具体例への適用を通し,構築した手法の妥当性を確認した.また,パレート面の分布特性や,幾つかの代表的なパレート解の設計条件について調べた.
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