研究概要 |
本研究では,三次元条件下での地盤材料の変形・破壊挙動の正確な把握を目的とし,再構成粘土の角柱供試体を用いて圧密非排水三軸圧縮試験を行った。供試体寸法および載荷速度を変化させ,正規圧密・過圧密それぞれの場合について試験を実施した。供試体に2mm格子のメッシュを描いたゴムスリーブを被せて設置し,せん断中に随時供試体二側面をデジタルカメラで撮影し,画像解析によってひずみの局所化を可視化し,定量化を行った。 本研究で得られた主な知見は以下の通りである。 小ひずみ領域においては,載荷速度が速いほど,軸差応力および破壊時の応力比が大きくなり,ひずみ速度依存性挙動が角柱供試体を用いた実験においても確認できた。一方,変形モードにも載荷速度の影響が現れ,載荷速度が遅いほど,より自由度の大きい供試体側面部において,より顕著に変形の局所化が観察された。 また,全般的に過圧密粘土の方が正規圧密粘土よりもひずみの局所化の現れる範囲が大きい。また,正規圧密粘土の方がより顕著に,ひずみ速度が変形の局所化に与える影響が大きい。一方,最終的な変形モードは正規・過圧密といった粘土自身の性質よりも,断面形状,細長比等の供試体形状が支配的である。 応力〜ひずみ曲線と供試体の変形に関しては,供試体が座屈するように折れ曲がって変形したものは軸差応力が急激に低下し,ひずみ軟化の度合いが大きい。一方,複数のせん断帯が複雑に交差して破壊した供試体の応力〜ひずみ曲線は,ひずみ軟化の度合いが小さく,ピーク強度から急激な減少は見られずに安定して推移する。また,変形の局所化の結果として現れるせん断帯は複数見られるが,それらの角度が揃い高次の分岐パターンを呈しているものは,そうでないものよりも大きい強度を示す傾向にある。供試体形状に関しては,細長比の大きな供試体ほど,座屈に近い変形モードが生じやすく,応力〜ひずみ関係も不安定であることが明らかとなった。
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