研究概要 |
1.はじめに 現在,高含水比かつ細粒分を多く含む泥状の建設汚泥は,その性状から処理が困難であり再利用率は低い状態にある.再利用にあたっては,その処理過程において脱水処理が必要となり,様々な方法が用いられている.本研究は,浸透圧密を利用した脱水処理方法を考案した.浸透圧密試験結果の解析方法として現在提案されている2種類の方法による解析結果を比較するとともに,浸透圧力領域を変化させた場合における建設汚泥の脱水性能を比較検討した.また,産業廃棄物焼却場から発生した焼却飛灰について浸透圧密を適用して含有重金属の洗浄を試み,その効果を実験的に調査した. 2.実験概要 浸透圧密試験とは今井(1979)の「Development of a new consolidation test procedure using seepage force」により提案された圧密試験方法である.この試験方法は通常の試験方法の適用範囲外である泥水ともいえる浚渫埋立て粘土を対象とした圧密試験方法で,圧密圧力がp=1kPa以下の低応力域の圧密特性を求めることが出来る. まず,浸透圧力を変化させ浸透圧密試験を行い,圧密終了後の試料の含水比分布を求めることでその脱水性能を評価した.また,浸透圧密では浸透力によって供試体を圧密脱水させること,そして,供試体の大部分の間隙水が浸透水(ここでは,水道水)と置換することから,焼却飛灰中に含まれている重金属について,試験前後の試料および排液中の重金属濃度を溶出試験により調べることにより,その洗浄効果を確認することができる.本実験では試料は実際に産業廃棄物処理場から排出されたものを使用した. 3.まとめ (1)浸透圧密試験結果は試料の初期含水比に影響され,初期含水比が大きいほど,浸透圧力を変化させた際に脱水性の変化が大きいことが言える.また,今回の実験から試料によっては浸透圧力を大きくしても脱水性能に変化が見られないので,浸透圧力としては高々60〜80kPaで十分であるという考え方ができるが,実験試料を変えたりするなどしてさらに検討していく必要がある. (2)飛灰を用いた浸透圧密試験の結果,浸透圧密による洗浄効果が示された.しかし,元素によってはpHにより,溶出量が大きく変化するため洗浄効果を上げるためには浸透させる水のpHを変化させることも必要となる.
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