研究概要 |
本研究では,大谷石を用いた一軸圧縮クリープ試験および一軸圧縮繰り返し載荷試験を行い,軸ひずみおよび変形,破壊時におけるAEおよび電位差の計測を行った.AEの計測においては,載荷中の供試体内部における微小亀裂の発生時期を知ることができた.また,亀裂の発生と電位差の発生の関連性について明確になった点がある. (1)加速クリープ段階に入ると,電位差は急激な変化を見せる (2)AEの発生状況より,供試体内部に微小亀裂が発生したと推測できる時点においては,電位差の顕著な変動が見られる (3)繰り返し載荷試験においては,載荷時の変形速度が上昇傾向に転じる時点から,発生電位差は増加に転じる傾向が見られる (4)電位差の発生傾向としては,1サイクル目から徐々に減少していき,ある点から増加に転じた後破壊に至っている. 本研究では,強度の異なる供試体を,一軸圧縮クリープ試験,一軸圧縮繰り返し試験,共に2種類用いて試験を行っているが,供試体の成分や強度の違いは発生する電位やAEの大きさに違いがあるものの,載荷,変形,破壊時に発生するという点で,ほぼ同じ傾向が得られている. これらの結果より、AE計測に変わりうる岩石の破壊予測手法の一つとして、電位差計測手法が有効であることが明らかになった。
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