研究概要 |
建設工事の大型化,地下空間の有効利用および港湾機構維持のため,発生する建設汚泥や浚渫土の量は年々増加している。この建設汚泥等の再利用の方法として,汚泥とセメント固化材を混合し埋立土として使用する管中固化処理法が中部国際空港島建設工事で採用されている。 浚渫土に発泡剤を加えて軽量にした発泡固化浚渫土は高アルカリ性を示すなど実用化に当たってはいくつかの問題が残されている。今年度も昨年度に引き続き二酸化炭素を用いたセメント固化土の中性化方法について検討するとともに、最終年度であるため研究全体の総括を行った。 セメント系固化材を添加した処理土において,流動床灰,微粉炭灰,製紙焼却灰の3種類の焼却灰を固化助材として用いて有効性を検討した結果,(1)それぞれの焼却灰を混合した処理土は養生の経過とともに強度が増加する,(2)SO_3とCaOを多く含有する流動床灰は固化助材として有効である,(3)微粉炭灰は固化材を多く混合したときに有効である,(4)製紙焼却灰の混合はあまり効果がない,(5)固化処理土からはクロムの溶出が問題であることが明らかになった。 また,高アルカリのセメント固化処理土の二酸化炭素による中性化については、昨年と同様、カオリン粘土とセメントを高含水比で練り返した疑似固化浚渫土を用いて実験を行った。その結果,(6)密封容器内で二酸化炭素を通気しながら撹拌することによって疑似浚渫土を均一に中性化でき,約4時間で水質環境基準を満たす程度までアルカリ性を低下させる,(7)養生段階で二酸化炭素を加圧する方法は,セメント固化処理土の厚さによりpHの低減量に大きな違いのあることが明らかになった。しかし,二酸化炭素を用いた中性化法は完全に中性化させるまでには比較的時間を要するため,管中混合処理法のように打設までに要する時間の短い工法への適用は困難である。
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