研究概要 |
本システムはトンネル内壁を測定する複合センサ,それを制御しセンサ情報を一時的に保存する測定制御装置,そして主要な駅等に設置するセンサ情報データベースと劣化度推定システムによって構成される.複合センサとしてラインセンサカメラ,レーザ距離センサを採用した.センサ情報データベースでは,複合センサより得られた情報を日々データベース化して保存し,劣化度推定システムにおいて,その情報を用いてトンネル内壁の劣化状況や,時系列的に見た劣化の進行状況を調べ,時期を推定する.はじめに,ラインセンサカメラを用いたひび割れ測定について検討を行った.列車速度がラインセンサカメラの撮影画像にどのような影響を与えるかを検討し,ライン両端接続法やニアレストネイバー法による速度の影響を軽減する解決方法を提案した.また,照明ムラ等が画像に与える影響についても検討を行い,適応2値化処理を用いた解決方法を述べた.次に,撮影画像からのひび割れ部分のみの抽出方法の検討を行い,占有率と円形度を用いた手法が有効であると確認した.さらに,パターンマッチングを使ったひび割れの進行個所を検出する方法や,進行形状の分類についての検討を行った.そして,ラインセンサカメラとコンクリートのパネルを使った実験を行い,提案手法の有効性を確認した.さらに,レーザ距離センサを用いた劣化診断方法について検討を行った.高速フーリエ変換を応用した劣化成分推定方法を提案し,実験により有効性を確認した.最後に,劣化度推定システムについて検討を行った.まず劣化度推定システムにおいて,複合センサより得られたひび割れのデータ,段差等の距離データから,劣化度と劣化進行度を求めるための評価関数と評価手法を提案した.実際のトンネル壁面展開図を使い実験を行い、本手法の有効性について確認した.
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