平成13年度は、幹線系道路の信号交差点における横断を対象に、横断歩行者と同時に現示が与えられる右左折車の視点から、高齢化による横断歩行者の速度低下や右左折車への注視不足への対応として発生する待ち時間増加などの影響とメカニズムを明らかにするために、基礎的な文献資料の収集分析、本研究開始以前に他の目的で実施した横断歩道におけるビデオ撮影記録に対する解析およびデータ分析、そして、横断歩道を広域にとらえることのできるビデオ撮影を行い、それを用いた解析及び分析を行った。 さらに、ビデオ撮影調査データからは、信号交差点の残り赤時間表示が、横断歩行者の到着時刻分布に及ぼす影響と歩行者の横断経路選択におよぼす影響を明らかにした。 平成14年度においては、横断歩行者の経路選択特性に着目し、横断歩行者からみたときの右左折車が存在することのコストの定量評価をおこなった。評価においては、ロジットモデルを用いて所要時間や待ち時間、立体横断施設の昇降の負担などとの相対的な比較での定量化を行なう方法を用いた。さらに、別途実施した意識調査の結果からこの評価結果を検証したところ、意識面で右左折車への負担感が強い場合においても、実際の横断場面においては最短距離での横断を選択する傾向が強いという調査手法による違いのあることが明らかになった。 これらの結果から、右左折車交通量と平面横断を選択する歩行者の割合の関係について定式化し、さらに、すでに求まっている横断歩行者が右左折車に及ぼす影響の基礎情報を用いて、右左折車の受ける総量を推定するとともに、意識調査から得られた立体横断施設に対する評価を総合的に取り入れた、立体横断施設設置の事前評価方法を提案した。
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