研究概要 |
膜分離システムにおいて生物反応と膜分離を単一の槽で行わせる浸漬型膜分離活性汚泥法は膜ろ過に必要なエネルギーを大幅に削減可能である。また,有機性廃水処理においては富栄養化防止の観点から窒素除去も望まれるが,本法では間欠曝気により一槽で好気状態と無酸素状態を起こし硝化脱窒を行えるため,装置のコンパクト化という点でも注目されている。本研究では一槽間欠曝気式膜分離システムの効率的な運転条件を明らかにすることを目的として,曝気サイクルや汚泥負荷等の運転条件が窒素除去能及び膜透過能へ与える影響とそのメカニズムを連続実験と回分ろ過実験により検討した。平成13年度は生物処理の汚泥負荷条件を一定にして曝気サイクルが及ぼす影響について検討した結果,曝気・非曝気の時間サイクルは,30-30(分)が効率的なことを明らかにした。 平成14年度は適正な曝気サイクル条件の運転において汚泥負荷条件が及ぼす影響について検討した。汚泥負荷条件として,一定の汚泥濃度で容積負荷の影響をみるとともに汚泥引き抜きを行わないClosedシステムでの運転も行った。その結果,以下の知見が得られた。 1)窒素除去能への影響 汚泥負荷が高すぎると,硝化反応が処理限界に達するため処理水中にアンモニア性窒素が残存し,除去率が低下する。しかし,汚泥を引き抜かないClosedシステムでの運転では,汚泥負荷が低いため,高い容積負荷であっても高い窒素除去率が得られる。 2)膜透過能への影響 膜透過能に関してもClosedシステムでの運転が有利であることが明らかとなった。汚泥負荷の高い条件で不利であるのは,活性汚泥に吸着・貯蔵されている有機物が多くなるため,汚泥の粘着性が増し,膜面に粘性の高い付着層が形成されるためと考えられる。一方,Closedシステムでの運転では,汚泥の粘性が低く,付着力の弱いケーキ層が膜面をコーティングするため膜透過流束の低下が抑制されると考えられる。
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