研究概要 |
本研究の目的は,風洞気流中での強制振動実験により,大スパン曲面屋根に作用する非定常空気力(振動依存風力)を測定して屋根振動の空力安定性や空力減衰特性を把握し,空力減衰効果を考慮した風応答予測手法を開発することにある。研究初年度に当る平成13年度においては,以下に示すような基礎的検討を中心に研究を進めた。 (1)既往の文献調査、 大スパン構造物の空力減衰に関する既往の文献を収集、整理し,研究の現状と問題点を把握した。 (2)大空間構造の設計例ならびに構造特性の把握 これまでに建設された大空間構造物における耐風設計の実状と,構造特性(固有振動数や減衰など)を既往の文献調査,並びに,設計者へのアンケート調査により明らかにした。その結果,膜構造では正の空力減衰の作用によって,見かけの減衰は鉄骨造に比べてかなり大きくなることが示された。 (3)大空間構造物の耐風設計におけるガスト影響係数法の適用性に関する検討 球形ドームを対象とした系統的な風応答解析によって,設計荷重評価におけるガスト影響法の適用性を明らかにし,ガスト影響係数のモデル式を提案した。なお,ここでは設計上最も重要となる部材応力度に着目している。結果の一部は,2001年10月に名古屋で開催されたIASSにおいて発表したが,より詳細な内容については,現在論文をジャーナルに投稿中である。 (4)強制振動実験の準備 新たに強制振動実験を行うに当り,加振装置の設計、製作を行った。平成14年度には,この装置を用いた系統的な風洞実験により,空力減衰特性を把握する予定である。
|