研究概要 |
当研究課題では,これまでに行った水平振動に対する被験者実験やユーザー・工務店に対する意識調査の結果を整理し,知覚確率に基づいて居住性能評価の指標を提示し,それに基づいた揺れ性能レベルを,ユーザーによりわかりやすく,実感できる表現として説明するための資料を提案した。 ユーザーに対するヒアリング・アンケート調査の結果や専門家に対するヒアリングで聞かれた意見をふまえ,揺れ性能の説明に用いる項目の種類や数,説明資料としてのプレゼンテーション方法などについて試行錯誤を繰り返して洗練した。すなわち,知覚閾および感覚評価における回答確率が,居住性能評価の対象となる加速度範囲でほぼ0〜100%に変動する項目を選択し,振動数ごとに各項目の回答確率を加速度最大値と対応させる。これによって揺れ性能レベルを段階的に評価し,ユーザーに身近な表現で示された性能レベルを専門家が設計指標としてくみ取れる資料を提示した。これらの結果は,日本建築学会から2004年5月に刊行された「建築物の振動に関する居住性能評価指針・同解説」に反映されている。 また,2003年度には一般ユーザーを対象とした全国規模のアンケートを実施し,ユーザーの住宅性能に対する意識を明らかにするとともに,振動に関する性能をユーザーにとってより身近にするための課題を知ることができた。さらに,ユーザー調査の新しい方法として作成を進めているインターネットによるコンテンツも,日本女子大学生涯学習総合センターより順次公開している。
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