民間の経済活動も活発であり、右肩上がりの地価上昇を前提とした新規建設投資も盛んに行われ、また行政側も税収の伸びが期待できた時代における官民パートナーシップの時代から、新規建設投資だけではなく、施設の維持管理やさらに地域の維持管理を重視する官民パートナーシップの時代のあり方を模索している時代に移行している。 そのような時代背景を認識として持った上で、大都市都心部と地方都市中心部を対象にヒアリング調査およびアンケート調査による調査分析を加えた。その結果、本稿が成果として示したものは次のようなものである。 (1)公共側の権限をもとに民間に基盤整備などの負担を求めつつ、一方で公共側の財政負担も行うという従来の公共性を中心とした都市づくりから、維持管理のようなより長期的な視点を含めた都市づくりへの移行を、民間を中心に官民パートナーシップによる新しい公共性への移行に伴う都市づくりとして事例に即して明らかにしたこと。 (2)グローバルな都市間競争や国内での地域間競争のなかで進められている都市づくり、それに伴う地域管理(エリアマネージメント)の事例について、東京、大阪を中心とした大都市都心部と全国ベースの地方都市中心部の両面で、わが国の代表的な事例を網羅し、検討対象としていること。 (3)今後の都市づくりの重要な側面となる地域管理の目的及び具体的な地域管理の内容を事例の類型化を通して明確にしたこと。 (4)さらに具体的な地域管理をすすめ、その目的を達成するための組織のあり方(民間を中心とした組織のあり方と公共と民間の協議の場のあり方)とその組織を維持し活動を進めるための財源のあり方について事例を通して明確にしたこと。
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