研究概要 |
1.Mgの錐面すべり (1)Mg-Li合金単結晶の[1120]引張試験において温度77K〜293Kでは{1122}<1123>2次錐面すべりにより降伏し降伏応力の正の温度依存性を示し,この降伏応力はLi添加量の増加に伴い減少した. (2)室温から473Kでも2次錐面すべりが活動し,従来報告されている柱面すべりは活動しないことがわかった.また純Mg多結晶材ではMg-Liより,(c+a)2次錐面すべりが活発であり,2次錐面すべりが延性に寄与していることがわかった. (3)Znおよび0.6at%Al添加により底面すべりの降伏応力は増加するが,0.9at%Alでは,逆に低下した. 2.Tiの錐面べり 室温および77Kの[0001]引張及び圧縮では,[1011]1次錐面すべりが活動し,その降伏応力には1.5倍以上の差が生じた.また[1120]圧縮および[1100]圧縮では柱面すべりが活動し,変形挙動が方位に強く依存していた. 3.分子動力学法による転位芯構造解析 (1)(c+a)らせん転位は,1次錐面に拡張した構造をとった.歪を加えた場合,(c+a)らせん転位は1次錐面と2次錐面の間を交差すべりを繰返し運動することがわかった. (2)(c+a)刃状転位に,純粋せん断歪を加えた場合,逆せん断方向では転位は運動しない.[1120]引張および[1120]圧縮歪をかけても同じである.しかし[0001]引張および圧縮歪を加えた場合,部分転位はいずれの負荷方向でも刃状転位は運動したが,[0001]引張においてより低い応力で運動した.しかし完全転位では,[0001]引張において転位は運動せず,双晶構造に変化した.したがって,(c+a)転位の運動は,単にすべり面に対するせん断歪(せん断力)だけでなく,すべり面に垂直な歪が影響することがわかった. 以上のシミュレーション結果より単結晶に変形機構を解釈できた.
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