研究課題/領域番号 |
13650723
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
金属物性
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
矢野 一雄 日本大学, 理工学部, 助教授 (20256803)
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研究分担者 |
梅原 出 横浜国立大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (90251769)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2002年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
2001年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | Gd-Ni系金属間化合物 / 電荷移動モデル / 磁気円二色性(MCD) / 磁気コンプトンプロファイル / 分子場近似 / 逆帯磁率 / Ni-希土類化合物 / ラーベス相 / 磁気モーメント(の焼失) / 放射光 / 遷移金属希土類金属間化合物 / 単結晶 / 磁気モーメント / 交換相互作用 / 磁気円二色性 |
研究概要 |
本研究の主たるねらいは、従来の定説であった希土類金属-遷移金属を組合わせた系における電荷移動モデル(希土類金属の外殻電子が遷移金属の3dバンドを埋めていくために希土類金属の組成の増加にともない、遷移金属の磁気モーメントが減少するというもの)を再検討し、この2元系合金中における磁性に寄与する電子(磁性電子)の挙動を理解するための足掛かりを得ることにあった。そのために、電荷移動モデルが成立するための典型的な証拠の一つと考えられている実験事実、「Gd-Ni係において、ラーベス相組成GdNi_2におけるNiの磁気モーメントは消失(ゼロ)している」を微視的かつ巨視的な観点から詳細に検討することにした。微視的には、Niの3dバンドに空きがあるか否かを"直接"調べ、Niが磁気モーメントを保持している場合はGdと反並行に結合し磁気構造がフェリになることからこの物質の磁気構造を実験的に検証するために、軟X線を用いた磁気円二色性(MCD)と磁気コンプトンプロファイル(MCP)を援用することとした。巨視的には、分子場近似を用いて磁化の温度依存性を詳細に検討して交換相互作用定数を導出し、それらの値を用いて逆帯磁率をシミュレーションし、測定結果と対比させることにより、Niの磁気モーメントの有無を検証することにした。試料は、GdNi_2と更に希土類の濃度が高いGdNiを選定した。 微視的な測定のうち、MCDからわかったことは、(1)GdNi_2,GdNiともにNiの3dバンドには空きがあり、Niの3d電子に起因する磁気モーメントが存在し、Gdのそれとは反並行に結合していること、その磁気モーメントを構成している軌道角運動量による成分が酸化物程度に大きいこと、が判明した(Phys.Rev.B.2003)。また、MCPからは、GdNi_2の磁気構造がフェリであり、Niの磁気モーメントの存在が明らかになった(PHOTON FACTORY, Activity Reportおよび、論文投稿準備中)。巨視的な分子場近似を用いた検討により、Niの磁気モーメントの存在を仮定し、Ni-Gd間の交換相互作用を考慮することによりこの合金の磁化の温度依存性は良好に再現できること、逆帯磁率の温度変化は一見、キュリー・ワイス則に従うように見えるが、Niの磁気モーメントを仮想的に増加させるとフェリ磁性特有の双曲線的な振る舞いを示すことが明らかになった(論文投稿準備中)。 以上により、Gd-Ni係については、従来の電荷移動モデルが(必ずしも)成立しないことが判明した。
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