研究概要 |
電子機器の高密度実装では半導体の接合に用いられているはんだとして、現在Pb-Sn合金が主に使われているが、この合金に含まれるPbが人体や自然環境に多大な悪影響を及ぼすことが懸念されている。現在PbフリーはんだとしてSn基合金が期待されている。Cu基板とSn基はんだとの界面における組織及び反応挙動は電子機器実装の信頼性において極めて重要である。本研究では、Cu基板とPbフリーSn基合金はんだとの界面反応に注目し、その反応生成物や界面形態の制御や予測手法を確立することを目的とし、以下のような結果を得た。 (1)組織制御及び相組成などに関する基本情報であるCu, Sn, Ag, Bi, In, Sb, Zn系の平衡状態図を精度良く把握するために、今まで実験及び熱力学的解析をなされていない系の状態図を実験的に決定し、更に、CALPHAD(Calculation of Phase Diagrams)法を用いて、熱力学的解析を行った。 (2)Cu/Sn-X(X : Ag, Sb, In, Bi, Pb)合金の固/液相拡散対を作成し、200、250及び300℃で熱処理し、時間及び組成の変化により、Sn基はんだにおけるCuの溶解挙動及び組織形態の変化を調べ、また、中間相の拡散挙動が明らかにした。特に、η相と液相との凸凹を有する界面を生じる原因については、粒界を起点としたGrooving効果が影響を与えていたと考えられる。 (3)今まで報告されている拡散に関する実験データに基づき、DICTRA(Diffusion Controlled Transformation)によりSn-X(Ag, Bi, Pb, Sn, Zb)はんだにおけるCuの溶解挙動及びCu/Sn-X拡散対におけるfcc相、ε(Cu_3Sn)相及びη(Cu_6Sn_5)相化合物における拡散の速度論のパラメータを評価し、これらのパラメータを用いて、各相の拡散挙動に関する実験結果を精度良く再現することができ、CuとSnとの拡散反応によって、界面の移動速度及びε及びη相の生成厚さも予測できた。
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