研究概要 |
TiB_2セラミックスは,機械的特性が高く金属並みの導電性を有する.また,B_4Cセラミックスは,硬度及び表面平滑性が極めて高い.これらの複合焼結体は,機械的特性が高く導電性を有するので,放電加工が可能となる. 放電加工可能な金型用セラミックス素材の開発を目的として,高能率な焼結法である放電プラズマ焼結法(SPS法)により,0〜100mol%B_4C(20mol%ステップ)を含むTiB_2-B_4C系複合セラミックス焼結体を作製し,機械的及び電気的特性,機械的特性を向上する焼結助剤の影響,放電加工性について特性評価を行った. (1)放電プラズマ焼結(SPS)法により焼結したB_4Cを40〜60mol%含むTiB_2-B_4C複合体は,焼結助剤無添加でも相対密度96%以上に緻密化を図ることができ,その機械的特性は,ビッカース硬度30GPa以上,3点曲げ強度730MPa以上,破壊靭性(K_<IC>)5.4MPa・m^<1/2>以上,平均表面粗さ25nm以下の鏡面,電気伝導度0.25〜1.32MS・m^<-1>以上が得られ,金属なみの導電性を持つ金型用セラミックス素材として有用である. (2)上記SPS複合体は,温度1950℃でホットプレス(HP)焼結した同じ組成系と比較して,ほぼ同程度の強度や導電性を有する. (3)上記SPS複合体は,安定な放電加工も可能で,鋼の加工条件で任意形状に高速加工が可能であり,加工後も加工前の70%程度の強度を有する. (4)本複合セラミックス機械的特性を向上させる最適な焼結助剤はA1Nであり,ホットプレス焼結の場合,特に破壊靭性(K_<IC>)を約8.0MPa・m^<1/2>程度まで向上可能で,セラミックスの弱点である脆さも改善できる. 金型に本セラミックスを採用することで,金型の長寿命化,耐熱性と耐食性の向上,従来不可能であった素材の型成形が可能となると推定される.
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