研究概要 |
ニオブ等の耐火金属の合金や複合材料は高温強度に優れることから,次世代の高温材料として期待されているが,高温での耐酸化性に劣ることが問題となっている.ニオブにアルミニウムやクロムを添加すると,耐酸化性は改善するが充分とはいえない。本研究では,ニオブにアルミニウムやクロムなどの耐酸化性の改善に有効と思われる元素を複合添加し,耐酸化性に優れたニオブ基合金を開発することを目的として研究を行った. スパッタ法で作製したNb-Al-Cr合金に関する2年間の研究の結果,ニオブを40 at%程度含み,アルミニウムとクロムを同時添加することで耐酸化性が大幅に改善し,1273K以下で酸化は放物線則にほぼ従うようになった。その速度定数は一般的なクロミアを形成する耐熱合金よりも小さな値となった。しかしながら,生成スケールは外層にクロミア,内層にニオブ,クロム,アルミニウムを含む酸化物の混合物であり,最も望ましいα-アルミナスケールは形成しなかった。硫化環境ではNb-Al合金は初期にアルミニウムの優先的な硫化が生じるので,アルミニウムの優先酸化を期待してSO2を含む酸化環境で反応を行った。その結果,40 at%程度のニオブを含む合金では,アルミニウムの優先酸化が起こるようにはなったものの,アルミナは外層スケールを形成することなく,内部酸化層を形成することがわかった。そこで,ニオブをさらにアルミニウムで置換することで,アルミニウムの活量を増大させると,α-アルミナスケールが1073K以上で生成し,耐酸化性は著しく向上した。このようにアルミニウム含有量が多い合金を機械的特性に優れたニオブ基合金へコーティングした場合,相互拡散によるアルミニウムの減少のために,耐酸化性が低下する危倶があるが,本研究では,アノード酸化アルミナを換算障壁層として導入することにより,相互拡散を効果的に抑制できる可能性も明らかとした。
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