研究概要 |
金属粉末の固化成形においてせん断変形導入すると粉末粒子の凝着が促進されることに注目して考案した「分割回転コンテナを用いる強せん断付加押出法」について,それを実現すべく,一連の実験研究を行った. まず,コンテナ内の粉末に理想とするコンテナ横断面でのせん断変形を起こさせるには如何なるコンテナ形状が適当か,過度のコンテナ回転によるせん断割れの防止には如何なる回転率の選択が適当か,調査した.本調査には,そのために設計,製作したコンテナの横断面形状が正6角形(対辺間距離D:14mm)の装置を用い,アルミニウム粉末(20〜42メッシュ)を実験材料に用いた.調査の結果,つぎの知見を得た.(1)理想とするコンテナ横断面でのせん断を回転コンテナの両端で起こさせるには,コンテナの胴長LがD/2では不十分であり,D程度の長さが必要である.(2)過度のコンテナ回転によるせん断割れを防ぐには,コンテナ1回転あたりラムの移動を,98MPaの圧力下では5mm以上,147MPaでは1.5mm以上にする必要がある. 上記の知見をもとに,当初計画の間欠押出し(断面減少率11.5%,材料供給は圧粉ビレットで行う)でアルミニウム粉末の連続固化を試みた.しかし,材料のコンテナとの摩擦による押出力の著しい増加により,実験は失敗に終わった.摩擦を軽減すべく,押出ダイの直上に回転コンテナを配置した方法,L=D/2の回転コンテナを用いた方法を試みたが,押出力の増加を止められず,失敗に終わった.予期に反する結果になり,当初計画の本法による押出材の性状についての調査はできなかったが,圧粉体の境界はせん断変形の導入によって消滅するという有用な知見を得ることができた.実験が失敗に終わったので,公表に値するような成果は結果として得られなかった.なお,前半の研究で得られた知見は第52回塑性加工連合講演会にて発表した.
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