研究課題/領域番号 |
13650786
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
材料加工・処理
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研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
上條 栄治 龍谷大学, 理工学部, 教授 (30214521)
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研究分担者 |
青井 芳史 龍谷大学, 理工学部, 助手 (70298735)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
2002年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2001年度: 2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
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キーワード | 窒止炭素 / 薄膜 / 電子サイクロトロン共鳴 / スパッタリング / 基板温度 / 基板材質 / N / C原子比 / N-sp^3C / 窒化炭素 / 基板材料 / 窒素炭素 / スパッタ / 基板電位 / (N-sp^3C) / (N-sp^3C)比 |
研究概要 |
炭素と窒素の化合物である窒化炭素(β-C_3N_4)は、ダイヤモンドに匹敵する体積弾性率を持つ可能性が予測され、世界中の研究者によって合成研究が行われている。しかし、未だ結晶性窒化炭素は得られておらず、その詳細な物性は明らかではない。われわれは、結晶性窒化炭素薄膜の合成には薄膜成長表面に低エネルギー(数十eV程度)イオンを大量に照射する事が重要なプロセスパラメーターであることに着目し、電子サイクロトロン共鳴(ECR)プラズマスパッタ法を用いて研究してきた。昨年度の研究において、40eV以下の基板電位において高いN/C原子比(0.35)ならびにsp^3Cに結合した窒素(N-sp^3C)の急激な増加(80%以上)がみられ、低エネルギー窒素イオンの基板表面への照射が有効で、サブ-インプランテーションモデルが適用できる事などを報告してきた。 本年度は、プラズマ状態をその場で計測し、活性種、プラズマ密度、基板温度、基板材質などの効果を明らかにする事を試みた。基板近傍に熱フィラメントを設置し、電子密度とN/C原子比の増加が確認でき、Si(100)、Cr基板上に合成した薄膜のN/C原子比は、基板温度の上昇に伴い緩やかに減少した。一方ステンレス基板上に合成した薄膜のN/C原子比は、400℃以上の基板温度で増加し、600℃で高いN/C原子比0.358が得られ、sp^3混成した炭素に結合した窒素(N-sp^3C)は急激に増加した。またRaman測定によるD bandとG bandの強度比(I(D)/I(G))は急激に増加した。これらの結果より、基板温度500℃以上でステンレス基板上に合成した薄膜は、膜中のN-sp^3Cが大幅に増加していることが示唆された。 窒化炭素薄膜の創製において、Fe系基板は高温状態で窒化炭素薄膜中のN-sp^3Cを増加させる効果を示すことが示唆された。六方晶系窒化炭素(β-C_3N_4)はN-sp^3Cを多く含む構造であるので、本研究で示された窒化炭素薄膜中のN/C原子比ならびにN-sp^3Cを増加させる効果が大きい低エネルギー窒素イオンの基板表面への照射とFe系基板物質の効果を利用することで、結晶性窒化炭素薄膜の合成が実現される可能性があると示唆された。
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