研究概要 |
製品形状は,設計や生産準備工程において重要な因子である.たとえば,実際の生産準備業務では,各製品の形状と仕様に合わせて型図面,治工具図面,工程設計書や作業指示票,生産計画表などが作成される.このとき,実績のある類似製品を参考にすることが多く,そのノウハウが品質,コスト,納期に直接影響を与えることになる.迅速に目的に合致した形状を検索できる方法が必要である.従来から形状分類については,いわゆるGT(グループテクノロジー)によって体系化,コードを付与して管理するという方法が用いられてきた.しかし,このコード化のためには,人が図面を見て判断するという作業を繰り返さなければならない. これらを解決するために,形状の自動分類に関する研究が進められてきた.その研究は,大きく2つに分けて整理することできる.一つは,フィーチャー・ベースに関する研究である.これは,CADを利用して設計する時に,あらかじめ定義された形式で逐次形状特徴に関するデータを保存し,活用しようとするものである.もう一つは,一般形状データから汎用的な方法で特徴を抽出し,分類する方法に関する研究である.本研究では,後者にあたる汎用的な形状特徴抽出法を検討した.ここでいう形状特徴抽出とは,形状の違い,または,類似性を判断できる定量的な指標を抽出することである.本研究では,3次元CAD図形から形状特徴を抽出し,形状類似性を定量的に評価する一つの方法を検討した.すなわち,各図形を等間隔の仮想直交格子で分割し,その形状に属するボクセルを決定する.次に,濃度重みつき距離変換法を応用して各要素について表面からの無次元距離を求めるとともにスケルトン(形状の骨格)を抽出する.さらに,いくつかの代表的なスケルトンの特徴量をニューロアルゴリズムで学習し,教師データとして登録する.その後,比較したい形状と教師データ形状の類似度を数値で表示し,形状類似性を評価する.この法を実装したシステム開発を行った。複数の形状類似度評価から妥当な結果を得ることができ,本手法が形状類似度の評価に有効であることがわかった.
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