研究概要 |
本研究では,運転データという時系列データを定性的に表現して,データマイニングツールの一つであるC4.5を利用することにより,オペレータの運転ノウハウを自動的に抽出する方法を検討した.C4.5は大量の蓄積データを処理することは問題ないが,時系列データのようにレコード並びに時間の概念は全くなく,各レコードは互いに独立であることを前提にしている.そのため,C4.5で時系列データを取り扱うためには特殊な前処理が必要であった.今回は時系列データをオペレータが監視する際に,瞬間の測定値だけでなく,一定時間内のトレンドとしてとらえ,しかも定性的に上昇あるいは下降傾向にあることを判断のひとつに使っていることに着目して,一次差分や二次差分の定性値を利用することを提案した.その結果,適切な前処理や説明変数の選択を行えば,運転ノウハウを抽出できる可能性があきらかになった. 一方,新たな問題として,C4.5では説明変数間も独立な関係であることが前提になっているのに対し,化学プラントでは,変数間の因果関係によって時間と共に影響が伝播するために,因果関係が逆転するようなルールが抽出されてしまう可能性が明らかになった. 今後は,相関係数など因果関係を説明できる手法と組合せることで、より系統的にルールを抽出できないかを検討することが課題である。
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