研究概要 |
本研究では,アルギン酸Naを難濾過性コロイドに添加し,これをゲル化剤であるCa塩水溶液と混合することにより,コロイド粒子をアルギン酸Caゲルの中に包括し,次いでコロイド包括ゲル懸濁液を重力脱水・圧搾脱水し,コロイド粒子を懸濁系から分離するプロセスを想定している。コロイド包括条件,ゲル化速度,懸濁液のpH環境,共雑イオンの影響について検討し,以下の結論を得た。 1.アルギン酸Na水溶液に懸濁した直径0.15μm,0.4μm,0.8μmの単分散球形PMMA粒子を完全に包括するためのアルギン酸Na濃度は1000ppmであった。 2.アルギン酸液滴のCa^<2+>取り込み過程は拡散律速であり,迅速なゲル化を行うには,液滴のサイズをできるだけ小さくする必要がある。ゲル中のCa^<2+>の見かけ拡散係数は液滴の組成によらず,無限希釈時の約1/2であった。 3.pH1.78〜12.15に調整した0.8μm-PMMAコロイド懸濁液をコロイド包括処理した結果,すべての条件で安定したコロイド包括アルギン酸Caゲルが生成し,ゲル懸濁液の上澄み液および搾液も清澄であった。 4.0.8μmPMMA懸濁液にNaCl,CaCl_2,AlCl_3を種々の濃度で添加し,この懸濁液を10000ppmのアルギン酸Na水溶液と等量混合し,混合液の状態を観察した。Na^+イオンは海水程度の塩濃度でもコロイド包括処理に影響を与えなかった。一方,懸濁液中のCa^<2+>およびAl^<3+>イオンは,コロイド包括処理に影響を与え,懸濁液中に存在する多価金属イオン量に比例したゲル状物質がアルギン酸Na-コロイド懸濁液混合液中に生じる。この場合,EDTAなどのキレート剤を用いて多価金属イオンを予めマスキングしておく必要がある。
|