研究概要 |
ナノ細孔シリカアルミナの細孔内壁やTiO_2微粒子を中程度の鎖長(炭素数5,8,12)の直鎖アルキルで化学修飾し,水中有機分子の吸着特性を調べた多孔体の化学修飾により,細孔中心のナノ空間-有機疎水層-無機親水表面からなる3重ナノ構造を構築できた.フェノール(PH),4-t-アミルフェノール(TAP)の吸着量は少なく,4-ノニルフェノール(NP)や4-n-ヘプチルアニリン(NHA)が選択的に吸着した.修飾アルキル基の炭素鎖長や多孔体のSi/Al比を変えると吸着能が大きく変化した. アルキルフェノール類の吸着量の序列を比較すると、アルキル基の大きい、つまり疎水基の疎水性が高い分子がよく吸着した。アルキルアニリン類でも同じ傾向があった。一方、アルキル基の大きさが同じアルキルフェノールとアルキルアニリン(4-n-ヘプチルフェノール(NHP)や4-n-ヘプチルアニリン(NHA))では、親水性が高いアルキルアニリンの方がより多く吸着した。このことや赤外分光法の結果から、修飾有機基がつくる疎水性ナノ空間と無機多孔体の親水表面がつくる有機無機ナノ構造に分子がフィットする(親水基は無機壁と水素結合する)、有機-無機協奏分子認識機構が発現していることがわかった。
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