研究概要 |
焼却炉の排ガスにはNOxや、ダイオキシン等の有機塩素化合物が含まれている。大型ボイラーと異なり、規模が小さく燃焼条件が刻々と変化する焼却炉の場合、排ガス量、NOx濃度等が常に変化する状態で排ガス処理を行う必要があり、NOx処理に関しては現在実用化されている選択接触還元法では不適当な場合がある。微細藻類は自然界の一次生産者として優れた環境適応能を有しており、焼却炉排ガス処理に適していると考えられる。これまで海産性緑藻を用いたNOx処理の検討を行ってきたが、焼却炉は内陸部に設置されることが多いため、淡水性藻類の方が培地のコスト等を考慮した場合有利である。そこで、淡水性藻類の中から焼却炉排ガスの処理に適した株の探索を行った。また、微細藻類による有機塩素化合物の処理については、モデル化合物として2,4-ジクロロフェノールを選び、処理能力の検討を行った。具体的には以下の結果を得た。 1.淡水性藻類の選抜 淡水性緑藻、ラン藻の中からNOxと2,4-ジクロロフェノールの処理能を合わせ持つ株の探索を行い、緑藻Chlorella fusca var. vacuolataを見出した。 2.NOx処理能の検討 本株を用いてNOxを良好に処理するための培養条件の検討を行い、本株によるNOx処理に適したバイオリアクターを開発した。 3.クロロフェノール類の処理能の検討 本株を用い、2,4-ジクロロフェノール以外のクロロフェノール類(o-クロロフェノール、m-クロロフェノール、p-クロロフェノール、2,4,6-トリクロロフェノール)の処理能を調べ、本株が種々のフェノール類の処理能を持つことを明らかにした。 4.NOxと2,4-ジクロロフェノールの同時処理 本株を用い、NOxと2,4-ジクロロフェノールの同時処理に適した培養条件を見出した。
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