研究概要 |
本研究は、層状化合物のトポタクチック構造変換反応を利用して多結晶基板や非結晶基板上で配向性薄膜を作成する低コスト、省エネルギーセラミックス薄膜プロセスの開発を目的とする。この方法は,まず層状金属酸化物をイオン交換反応,インターカレーション反応などのソフト化学反応を利用して,層状金属酸化物を剥離し,金属酸化物ナノシート溶液を作成する。金属ナノシート溶液を基板上に塗布し,乾燥することで,層状金属酸化物の配向性薄膜が得られる。このように作成した配向性薄膜は基板の特性に依存せず,ナノシートの形状に依存するので,多結晶基板や非結晶基板上で容易に高い配向性が得られる。このように作成した層状金属酸化物薄膜を熱処理や水熱処理などの方法で目的物質へトポタクチック構造変換し,目的の金属酸化物配向性薄膜が得られる。 本研究期間中には,層状チタン酸H_<1.07>Ti_<1.73>O_4の合成、剥離反応、ステンレス基板上およびチタン金属基板上でのTiO_2、BaTiO_3薄膜の作製について検討した。H_<1.07>Ti_<1.73>O_4層状チタン酸をn-propylamine溶液で処理して層状チタン酸ナノシートゾル溶液を作製できた。このゾル溶液を用いてディッピング法で基板上に層状チタン酸の配向性薄膜の作成に成功した。作製した層状チタン酸の薄膜を空気中で加熱処理を行い、アナターゼ型TiO_2配向性薄膜およびルチル型TiO_2配向性薄膜が得られた。さらに層状チタン酸薄膜をBa(OH)_2溶液中で水熱処理してBaTiO_3配向性薄膜の作製に成功した。低温水熱反応で作成したBaTiO_3配向性薄膜は立方晶系であるが,高温では強誘電性正方晶系BaTiO_3配向性薄膜が得られた。このように作成した正方晶系BaTiO_3薄膜は単結晶基板上にエピタキシャル成長したBaTiO_3薄膜に類似することがわかった。
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