研究概要 |
本研究では、クラウンエーテル誘導体における側鎖固定効果と電子供与性側鎖の配位能を活用し、光学活性アミン塩並びにアミノ酸塩の高度な識別を行う人工ホスト化合物を開発することを目的としている。 キラルな2,12-ビス(ヒドロキシメチル)-2,12-ジメチル-18-クラウン-6(1)はその水酸基の修飾により新規キラルホスト分子へと誘導できる重要な鍵化合物であり、他のクラウン環構造へも適用可能な新規別途合成法を開発した。2,2,4-トリメチル-1,3-ジオキソラン-4-メタノールをリパーゼ触媒アセチル化反応により光学分割し、光学純度97%eeで(R)-アセチル体を得た。さらに脱アセチル化、続いてベンジル化した後アセタール基を除去し、ジエチレングリコールジトシラートを塩基存在下、室温で反応させた。さらにテンプレートとしてKBF4を加えて、ジグライム中、40℃でジエチレングリコールジトシラートと反応させることにより18-クラウン-6誘導体を合成した。酢酸中、Pd触媒を用いて脱ベンジル化し、(S,S)-ジオール体(1)を得た。 またキラルクラウンジオール(1)を鍵化合物として塩基存在下でトシル化し、さらにフェノール、α-あるはβ-ナフトールなどと反応させてさまざまな側鎖を導入することにより新規キラルホスト分子へと誘導した。NMR滴定法により、(R)-または(S)-フェニルエチルアミン過塩素酸塩、α-(1-ナフチル)エチルアミン過塩素酸塩、フェニルグリシノール過塩素酸塩をゲストに用いてキラル識別能を調べたところ、それぞれホスト分子の構造に特徴的なキラル認識能を示すことが明らかとなった。
|