研究課題/領域番号 |
13650920
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
合成化学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
芝田 育也 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (10196420)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2002年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2001年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | スズヒドリド / アート型錯体 / アルキン / マルコフニコフ付加 / αスタニル化 / ビニルスズ / 位置選択的反応 / 高選択的反応 / アート錯体 / ヒドロスタニル化 / 位置選択性制御 / α-スタニル化 / シン付加 |
研究概要 |
脂肪族アルキンに対するα-選択的ヒドロスタニル化 カウンターカチオンを代えた新しいスズヒドリドアート錯体、[MgBr]^+[Bu_2SnBrIH]^-の合成、およびそれを用いた還元反応について研究した。本錯体を用いて、Li^+[Bu_2SnI_2H]^-では不可能なα,β不飽和エステルの還元が可能となり、さらにアルドール反応へと展開された。本研究成果はOrg. Lett.誌に掲載された.また、脂肪族アルキンのヒドロスタニル化において選択的なマルコフニコフ付加(αスタニル化)が初めて達成された。α-ヒドロスタニル化は、従来いかなる方法でも達成されていない初めての発見であり、J. Am. Chem. Soc.誌に速報として発表するに至った。以上のように、本研究では、スズ中心上にハロゲン置換基を導入し、さらにアート錯体化することでハロゲン置換基の求核性を増大させ、これを求核種として反応させることにより、従来の還元剤とは異なった反応経路を持つ還元剤が見いだした。すなわち、従来の金属ヒドリドではヒドリドが直接基質を攻撃するため、ヒドリドの反応性により選択性が決定される。これに対し、スズヒドリドアート錯体では、まずハロゲン置換基が基質を攻撃し、続いてヒドリドによる還元が起こるために、選択性を決定するのはハロゲン置換基の反応性となった。この段階が遷移金属触媒反応と大きく異なるところであり、反応剤と基質の立体作用が大きく働くものと考えられる。したがって、このハロゲン置換基を代えることにより様々な選択性のコントロールが期待できる。また、カウンターカチオンの選択により反応性をコントロールすることも可能であり、非常に幅広い反応性の制御が期待できる。本論文で得られた方法論は、スズヒドリドの適応範囲を大きく拡大したが、他のスズ試薬へと応用できる可能性もあり、さらなる発展が期待される。
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