研究概要 |
1.希土類アミド錯体によるオレフィンのヒドロシリル化反応と共役ジエンの脱水素ダブルシリル化反応:希土類-イミン錯体,[Yb(η^2-Ph_2CNPh)(hmpa)_n](1)又はこれにPh_2NHを加えて発生するジアミド錯体はオレフィン類のPhSiH_3,Ph_2SiH_2によるヒドロシリル化反応に高い触媒活性を示すことを見出した。他方,この反応を共役ジエンに適用すると,予期したヒドロシリル化物は一切得られず,脱水素ダブルシリル化反応が起り,1,4ビスシリル-2-ブテン誘導体が高収率で生成した。この反応系中では1とヒドロシランより生成するヒドリド種[Yb]-Hとシリル種[Yb]-Siの2つの活性種が共存し,オレフィンは前者と共役ジエンは後者と選択的に反応するためにこの反応パターンの相違が生じることが明かとなった。 2.希土類-イミン錯体によるアルキン等の炭素-炭素多重結合の触媒的分子間ヒドロホスフィン化反応:Ph_2PHによるアルキンの分子間ヒドロホスフィン化反応がイミン錯体1を触媒に使用すると非常に短時間,高収率で進行することを見出した。この反応は一般性が高く,芳香族,脂肪族,内部,末端いずれの基質にも適用できる。さらにジエン,ジイン,アレンなど多様な多重結合にも展開でき,その合成化学的価値は高い。D化実験,NMRトレース,Kineticsより1とPh_2PHよりジホスフィド錯体[Yb(PPh_2)_2]が発生し,この2量体にアルキンが挿入する律速段階,続くプロトン化により触媒サイクルが完成することを明らかにした。
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