研究概要 |
1.浮稲性のQTL分析 台中65号(日本型稲)およびBhadua(浮稲)とこれら2品種を両親とするF2155系統を供試し,伸長を開始する最初の節間(LEI)の位置と節間伸長速度(RIE)を調査した.処理後の各植物体の葉からDNAを抽出し,93個のRFLPマーカーと21個のSSRマーカーを用いてジェノタイピングし,QTL解析を行った.その結果,台中65号のLEIの位置と節間伸長速度の平均はそれぞれ13.7,13.40(mm/日),Bhaduaでは6.4,81.44(mm/日)であった.これに対し,F2集団のLEIの位置は7〜15,節間伸長速度は10.43〜91.67(mm/日)と大きな変異を示した.QTL分析の結果,染色体3と12に節間伸長開始時期に関与するQTLが,染色体1と12に節間伸長能力に関与するQTLが位置すると推定された.寄与率はそれぞれ79.3および49.7であった. 2.組み替え近交系(RILs)および準同質遺伝子系統(NILs)の作出. RILsは現在F6種子まで得られており,実用段階となっている.BC3F2を用いて遺伝分析を結果,F2を用いた解析結果を支持するデータが得られた. 3.節間伸長の多様性にに関与する植物ホルモンの同定. 増水下における節間伸長に関与すると考えられている植物ホルモン(ジベレリン,エチレンおよびABA)について,上記親系統を用いてその反応性を調査した.その結果,エチレンおよびジベレリンは生合成,感受性ともに異なることが明らかとなった. 4.節間伸長能のIn vitroアッセイ系の確立 節間伸長能を迅速にアッセイするための実験系を開発した. 現在,上記の成果をもとに,浮稲性に関する遺伝子のmap-based cloningを試みている
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