研究概要 |
1.ギボウシの休眠生態と休眠打破 (1)どの生育段階にあるギボウシ(ウルイ)でも27℃,16時間日長条件下に置かれると休眠導入が抑制され,成長を続けた.主軸が抽苔等で成長が衰えあるいは終了した場合は,側芽がほう芽し,側シュートが替わりに成長した.その場合,コバギボウシでは比較的多くの側シュートが旺盛に発達したが,オオバギボウシでは側シュートの発生が少なく,その成長も弱かった.オオバギボウシ側シュートのほう芽・成長は低温遭遇後に旺盛になった. (2)8時間日長条件はギボウシがどの生育段階にあっても速やかに休眠を誘導した. (3)主軸が成長している間,側芽は(相関的)休眠状態にあったが,オオバギボウシではこの休眠が深く,コバギボウシでは浅いかほとんどなかった. 2.アマドコロ属植物とユキザサ根茎の休眠打破 (1)オオナルコユリ根茎の休眠は11月以前には極めて深く,またアマドコロのそれは10月以前に深かったが,こられの休眠は90日間程度の5℃処理によって打破された.しかし,7月以前には低温処理の休眠打破効果はほとんど見られなかった. (2)ユキザサ根茎の休眠も5℃処理で打破されたが,5℃処理時期を10月以前に行うと、芽はある程度伸長しても展葉には至らない,不完全なほう芽に止まった。 3.ギボウシのin vitro増殖 発芽後まもない幼植物を培養することで多数の不定シュートが得られた.そのシュートはin vitroで長期間維持,増殖を続けることができたが,成長培地に移してある程度大きくしてから順化に移すと,2週間で順化苗が得られた. 4.研究成果の応用 (1)ギボウシの周年栽培技術の確立. (2)アマドコロ属植物とユキザサの促成栽培の前進化. (3)ギボウシのマイクロプロパゲーションによる効率的増殖法の確立.
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