研究課題/領域番号 |
13660030
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
園芸・造園学
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
寺井 弘文 神戸大学, 農学部, 教授 (30110802)
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研究分担者 |
鈴木 康生 神戸大学, 農学部, 助手 (30335426)
朴 杓允 神戸大学, 自然科学研究科, 教授 (20147094)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2002年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2001年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
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キーワード | 収穫後 / 老化 / 成熟 / ブロッコリー / ピーマン / クロロプラスト / 電子顕微鏡 / エタノール処理 / 緑色保持 / エタノール蒸気処理 / エチレン / ACC / ACC酸化酵素 |
研究概要 |
1)ブロッコリー(Brassica oleracea L.var.Italica)は収穫後常温で素早く老化し、小花は黄化するため、たなもちは短い。本研究は粉末アルコールによる簡便で低コストなエタノール蒸気処理を目指し、収穫後のブロッコリーを用いて老化の抑制と小花の緑色保持の機構を明らかにした。ブロッコリーからブランチレットを調製し、有孔ポリエチレン袋に粉末アルコール(0,3,6,12g)とともに包装し、暗所に貯蔵した。その結果、3gの粉末アルコールによるエタノール蒸気処理はブロッコリーのたなもちを延長し、黄化の抑制に有効であるが、12gによる高濃度の蒸気は小花の異臭や軟化、緑色の黒ずみを引き起こすことを示した。一方、無処理区では貯蔵2〜3日でエチレン生成は著しく増加し、またACC酸化酵素の活性も増加したが、粉末アルコールで処理されたものはどちらもほとんど増加しなかった。これらの結果より、粉末アルコールによる処理はACC酸化酵素の活性を抑制してエチレン生成を抑え、簡便、低コストでブロッコリーのたなもちを延長することが明らかになった。 2)上記の実験結果より、高濃度のエタノール蒸気処理による細胞の異常現象の発現の機構を明らかにするため、透過型電子顕微鏡(TEM)を用い、粉末アルコールによる貯蔵中のブロッコリー小花におけるガクの細胞とクロロプラストの構造変化を調査した。その結果、3gの粉末アルコールによる適切な濃度のエタノール蒸気はブロッコリーのガク細胞に構造変化を引き起こすことなく、クロロプラストからクロモプラストへの変化を遅らせることが明らかになった。一方、高濃度のエタノール蒸気は偽原形質分離、細胞膜の破断、色素体の変化を引き起こし、異臭の発生や小花の緑色の黒ずみをもたらすことを示唆した。 3)赤色のピーマンは成熟した果実であり、最近市場で販売されている。本研究は緑熟段階で収穫されたピーマン果実の常温貯蔵における品質改善を目指したものである。この実験ではピーマン果実の成熟中におけるクロロプラストの変遷の機構を明らかにするため、SEM(走査型電子顕微鏡)と正Mを用いて、色素体の微細構造変化を調査した。SEM観察によると成熟の進行とともに、グラナとストロマチラコイドが崩壊し、成熟の進行した段階では、チラコイド膜から生成された多くの節をもった管状構造が色素体を占めるに至った。この段階のTEM観察では、色素体の大部分は寄り集まった管状構造で満たされ、完熟段階では繊維状構造がみられた。電顕計測学的調査では成熟に伴い、色素体に対するグラナチラコイドやストロマチラコイドの割合は減少し、シングルチラコイド、小胞、油滴、管状構造、繊維状構造は増加した。これらの値は電顕観察によるサブオルガネラの数値的変化を裏付けた。
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