研究概要 |
我が国の環境に適したブルーベリー品種の選抜と育種を目的に、ハイブッシュブルーベリー(HB)42種、サザンハイブッシュブルーベリー(SHB)16種、ラビットアイブルーベリー(RB)34種の品種や系統およびスノキ属野生種5種を遺伝資源として収集し,評価した.成熟果の重さには,0.8〜3.2gと幅広い品種間差異がみられた。いずれの品種も,成熟果の糖は果糖とブドウ糖がほぼ等量でほとんどを占めたが,RB品種の全糖含量はHBとSHB品種のそれらに比べ高い傾向がみられた.全有機酸含量は、SHBの品種で低く、RBの品種で高い傾向を示した。また、RBの品種ではキナ酸が,HBとSHBの品種ではクエン酸が主酸であった.HBとSHBの雨除け栽培では,露地栽培に比べ果実重が有意に重く,多くの品種で糖含量が高く、有機酸含量が低かった.また,アントシアニン含量も雨除け栽培で高かったが,果実のメタノール抽出物の抗酸化活性には両栽培間に明らかな差異はなかった.我が国の野生種であるクロマメノキと栽培品種との正逆交雑を行った結果,クロマメノキを種子親に用いた場合に種子が得られ易いことが明らかとなった.KB7,9,10の3系統(クロマメノキ×'ブルークロップ')を調査した結果,葉や花の形態並びにフローサイトメーターとRAPD法による解析から,いずれも雑種であることが明らかとなった.KB7の果実は,クロマメノキに近い球形で,重量は'ブルークロップ'に比べ軽かったものの,クロマメノキより4倍重く,両親と異なり果柄が長い特徴を有した.また,花粉親である'ブルークロップ'に近い糖および酸組成を示し,全糖含量は,クロマメノキに比べ有意に高く,全有機酸含量も'ブルークロップ'に近い値を示した.さらに,アントシアニン含量は'ブルークロップ'(78.9mg/100gF.W.)の約3倍以上(265.9mg/100gF.W.)と極めて高く,クロマメノキとほぼ同程度の値を示すことなどが明らかとなった.これらの雑種は,今後遺伝的,育種的な研究に使う予定である.
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