研究概要 |
本研究では,タマネギ,シバなど各種植物より分離されるMild Pathogenic BacteriaついてBurkholderia cepacia, Pseudomonas fuscovaginaeと同定した.種々の手法で菌系の分化を調査し,B. cepaciaは大きく二群に類別され同菌のgenomovarのIとIIIに相当することが明らかになった.B. cepaciaではタバコHRは全て陰性なのにhrp遺伝子があるものとないものがあることを明らかにした.植物に対する病原性や抗菌活性等も菌株間差が大きく,遺伝子による系統分化とは一致しないことを明らかにした.このことは,本菌の植物に対する病原性がhrp遺伝子などにはよらない従来に無いタイプの遺伝的要素によって決定されていることを示しており本研究当初の予想が裏付けられた.接種試験と関連する遺伝的要因を調査し,宿主範囲にも多様性があること,fliC,ITSのパターンも多様で性は宿主範囲と一致しないこと,唯一,pehの検出の有無がタマネギに対する病原性と一致しており,有効な指標になりうることを明らかにした. P. fuscovaginaeではタバコに過敏感反応陽性だったがいずれもhrp遺伝子は検出されず,代わりに植物毒素シリンゴマイシン合成遺伝子と相同性のある遺伝子が検出され,従来のhrp遺伝子イコール病原性という図式をくつがえす事例を発見するにいたった.本菌は新規のペクチン酸リアーゼを作っていること,それと鞭毛がタバコへの反応に関与する可能性も考えられた. Herbaspirillum属についてはhrp遺伝子存在が確認されたが,タバコHRやイチゴなどへの病原性とは無関係であった.さらに遺伝子ライブラリーを作成し,hrp相同領域のクローンを得た.シークエンスよりhrcV, hrcNの2つ相同領域が存在すること,それらがHerbaspirillumの属するβ-Proteobacteriaのものよりむしろα-Proteobacteriaに類似度が高いが,いずれのグループとも異なった新規のグループを形成する可能性が高いことを明らかにした.
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