研究課題
基盤研究(C)
本研究は、核リボソームDNA(rDNA)領域の塩基配列を用いて,うどんこ病菌の宿主拡大戦略を分子系統学・進化学の視点から解明することを目的に行った.本研究で得られた主要な成果は以下の通りである.1.核リボソームDNAの塩基配列から推察されるうどんこ病菌の系統と進化核リボソームDNAの塩基配列に基づく系統解析によって、うどんこ病菌は5つの主要な系統群に分かれることを明らかにした。各系統群の特徴は不完全世代である分生子世代の形態と一致し、完全世代である閉子のう殻の形態とは一致しなかった。うどんこ病菌は一般的に木本植物寄生菌が祖先的であり、進化過程において木本から草本への宿主拡大が各系統群内で独立に複数回起こった。この草本への宿主拡大に伴って、付属糸の単純化が複数回にわたって起こった。したがって、菌糸状の単純な形態の付属糸は収斂進化の結果生じたものである。宿主拡大ルートをCystotheca連で詳細に調べた結果、Sphaerotheca属に含まれる2つの節はPodosphaera属から別々に生じたことが明らかになった。Sphaerotheca属Magnicellulatae節はバラ科サクラ属に寄生するPodosphaera属菌に由来し、まずゴマノハグサ科の草本に寄生性を獲得した後、キク科植物に宿主を拡大したと考えられた。キク科内で遺伝的放散をした後、さらに他の植物科に宿主範囲を拡大した。Berbee and Taylor (2001)が報告した分子時計(1.26%/100myr)によると、ウドンコカビ目とミクソトリクム科の分岐は今から約1億年前に、またウドンコカビ目内での最初の分岐は今から約7千6百万年前に起こったと推察された。2.Golovinomyces属うどんこ病菌とキク科植物との進化的関係Golovinomyces属は世界で58科2283種の宿主植物を持つ草本寄生性のうどんこ病菌で、全宿主の50%以上にあたる約1200種はキク科植物によって構成される。本属菌の系統樹基部に位置する各クレードにはそれぞれ単一のキク科の連が宿主として対応しており、しかも菌のクレードの分岐順序とキク科の連の分岐順序がほぼ一致することから、本属菌の出現初期においてキク科植物の連との間に共分化の関係が成り立つことが示唆された
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